- 子どもの便秘?何日続くと
危険?便秘の定義 - 子どもの便秘の症状チェック
- ~年代別~子どもの便秘の原因
- 検査・診断
- 治療法
- 子どもの便秘の解消・生活・
食習慣の改善 - 赤ちゃんも便秘になる!?
乳児の便秘を解説 - よくある質問
子どもの便秘?何日続くと
危険?便秘の定義
毎日トイレに行っていても、小さくて硬い便しか出ない、出す時に痛がっているなどの場合も、便秘症とみなされます。
便秘症は放置すると重症化し、排便能力が低下したり大人になっても便秘に悩まされたりする可能性が高くなります。また、便秘症を抱えたままでいると、イライラや多動など、お子さまの精神面での悪影響も及ぼすとされています。
子どもの便秘の症状チェック
- 元気がない、機嫌が悪い
- 食欲不振
- トイレに行きたがらない
- おならの回数が増えた、おならの臭いがきつい
- 排便の時、お尻を痛がっている
~年代別~
子どもの便秘の原因
乳幼児期の便秘
主な原因としては、母乳やミルクの不足、汗の多さ、食事の変更などが挙げられます。人工ミルクを飲んでいる赤ちゃんは、母乳よりも便が固くなりやすく、便の回数も減りやすい傾向があります、便が固くなると便を出す時に痛みを感じるので、便意を感じても我慢してしまうことがあります。これによって、さらに便秘が悪くなることもあります。
学童期の便秘
便秘の原因は、体質や食事習慣の乱れ、トイレのタイミングや環境、ストレスや疾患などが挙げられます。食物繊維が不足すると、便が硬くなるのでスムーズに出にくくなります。また、「朝は時間がなくてトイレに行けない」「学校のトイレが汚い」などを理由に、便意を無視するケースも珍しくありません。
便意を我慢すると、便が腸に溜まって腸や肛門に悪影響を与えます。便秘が長期化すると、腸の疾患や精神的な問題を引き起こすこともあるので、放置は禁物です。
検査・診断
便秘症とは、週に3回以下しか便が出なかったり、5日以上便が出なかったり、便を出すのに痛みや苦しみがあったりする状態を言います。また、便が小さくて硬い場合や、柔らかい便が少しずつ1日に何回も出ている場合でも、便秘症の可能性があります。その状態でいると、便が腸に詰まって漏れ出てしまう可能性があります。
便秘症が1~2ヵ月以上続くと「慢性便秘症」と呼ばれる状態となり、適切な治療が必要になります。
一方、普段は便が出やすいお子さまが一時的に便秘になることもあります。これは「一過性便秘」と呼ばれ、浣腸や薬で排便を促せば、すぐに元通りになることが多いです。
治療法
便秘になると排便痔の痛みを伴うことがあるため「便を出す=辛い」と思ってしまう子どももいます。その時は、便を柔らかくする薬や、腸の動きを活発にする薬、浣腸などを使って、スッキリとした排便ができるように促します。また、漢方薬を使うこともあります。
バナナうんちを目標にしましょう
便は体調を把握するために重要なバロメーターです。便が硬かったり下痢になったりしていると、不快な症状が続くので、大きなストレスとなります。
便秘を改善するには、バナナのようなうんちを目指しましょう。バナナうんちは、表面がつるつるで柔らかく、力を入れなくてもスッキリと出るうんちです。バナナうんちを作るためには、生活習慣を見直すことが大切です。
うんちの回数・状態を観察しましょう
便秘がひどい時は、うんちの記録をすることが大切です。保護者の方が回数や状態などをメモするのはもちろん、お子さまの好きなキャラクターのノートやシール、スタンプなどを使って、楽しく飾り付けることをお勧めします。
親子で一緒に記録を楽しむと、お子さまは排便に対して嫌な気持ちにならず、治療にも積極的になりやすくなります。
子どもの便秘の解消・生活・食習慣の改善
食生活をはじめとした、生活習慣の改善を行います。
食事の習慣を見直す
無理のない範囲で構いませんので、栄養バランスの良い食事をすることが大切です。特に、海藻や野菜、雑穀、果物などは、水溶性食物繊維が豊富ですので、積極的に食べさせましょう。水分も十分に摂ることが必要です。
ただし、食事や水分だけで便秘が治るとは限らないため、無理せずご相談ください。
規則正しい生活を送る
便秘を解消するには、朝起きたらトイレに行く習慣をつけることが大切です。朝食をしっかり食べ、トイレでゆっくり過ごす時間を確保しましょう。
夕食は早めに済ませ、早めに寝るように心がけましょう。完璧にする必要はありませんが、できるだけ実践してみましょう。
便意を感じたらすぐにトイレへ行く
便意を感じたら、すぐにトイレに行くことが大切です。便意を我慢すると、さらに便秘が悪化しやすくなります。とはいえ、トイレトレーニングをきっかけに便秘になるケースもありますので、トレーニングはお子さまのペースに合わせてゆっくり進めましょう。
赤ちゃんも便秘になる!?
乳児の便秘を解説
赤ちゃんの便秘症は、便の回数や状態を調べてから診断をつけますが、ハッキリとした基準は設けられていません。赤ちゃんによって便の出方は違いますし、週に1回の便でも元気なお子さんもいます。しかし、ほとんどの赤ちゃんは3日に1回以上の便が出ますし、4日以上出ないとお腹が張ったりぐずったりすることが多いです。そのため、1歳以上の子と同じく、「週に3回より少ない時には便秘症の診断をつける」と考えることができます。
また、赤ちゃんは、まだ便を出すのが上手ではないので、便が柔らかくてもなかなか出ないことがあります。これは「ディスケジア」と言い、便秘症とは違うものです。治療は要りませんが、綿棒などで肛門を刺激すると便が出やすくなることがあります。
原因
赤ちゃんが便秘になることはよくありますが、その原因は様々です。まず、赤ちゃんに生まれつきの腸や肛門の疾患、全身性疾患が隠れていないかをチェックする必要があります。
また、次に考えられる原因は、母乳やミルクの量が足りていないことです。母乳や混合栄養の場合には、赤ちゃんがどれだけ飲んでいるかが分かりにくいので、様子をじっくり見てあげる必要があります。特に「おっぱいに張りがない」「赤ちゃんが乳首から口を離さない」「授乳後すぐにまたおっぱいを欲しがる」などのサインがありましたら、母乳不足が疑われます。哺乳量を測る方法としては、授乳前・後に赤ちゃんの体重を正確に計る方法や、1~2週間ごとに体重の増加をチェックする方法などがあります。
治療法
赤ちゃんの便秘症の治療方法は、現代でもハッキリと決められているわけではありません。しかし、以下の方法が勧められています。
綿棒などで肛門を刺激させる
綿棒に滑りを良くする薬(ワセリンなど)塗り、肛門から1~2cm入れて刺激させます。肛門に傷がつかないよう、優しく挿入すれば毎日継続できる方法でもあります。
ヨーグルトを与える
離乳を始めた後の赤ちゃんの場合、少量のヨーグルトを毎日食べさせることで便通が良くなったというケースもあります。
果汁を飲ませる
リンゴやプルーン、柑橘類などの果汁を3倍くらいに薄めたジュースを10~20mlほど与えてみましょう。
糖類下剤を飲ませる
肛門刺激と果汁を飲ませる方法を行っても便秘が長引いている場合には、マルツエキスやラクツロースなどの糖水を与えてみましょう。
浣腸
たまに浣腸を行うこともあります。症状をコントロールできる場合には、4日目や5日目に浣腸して経過をみることもひとつの方法です。ただし、必ず医師と相談しながらにしてください
下剤
先述した方法を全て行っても改善できなかった場合は、ラキソベロンや酸化マグネシウム(カマグ)などの下剤が処方されます。ただし、これらを服用する際は、必ず医師の指示にしたがって飲むように気を付けてください。
よくある質問
子どもが便秘です。何科へ受診すれば良いのでしょうか?
お子さまの便秘は、小児科で診てもらいましょう。当院も小児科ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
便秘の基準について教えてください。
一般的には、週に3回以上排便があれば便秘ではないと考えられます。しかし、3日以上便が出ない場合は便秘の可能性があります。
子ども時代の便秘は大人の排便にも影響を与えるのでしょうか?
実際に、5歳以上で便秘の問題を抱えている子どものうち、4分の1ぐらいは成人しても便秘が治らないという研究結果があります。
早期に便秘治療を始めることで成人まで便秘を持ち越さない可能性があります。
便秘になりやすい時期や年齢ってありますか?
母乳から粉ミルクに変えた時、離乳食を始めた時、トイレトレーニングを始めた時、保育園や小学校などに入った時期などは、便秘になりやすいです。
基礎疾患がない機能性便秘の場合、どんな治療を受けるのでしょうか?
トイレトレーニングや生活習慣の見直しをはじめ、飲み薬や坐薬、浣腸などを使った薬物療法も並行して行います。特に慢性便秘症の場合は、長い治療期間を要することがあります。
飲み薬は主に、酸化マグネシウムやモビコール、マルツエキス、ラキソベロン、プルゼニド、漢方薬などが処方されます。坐薬ではテレミンソフト、新レシカルボンなど、浣腸はグリセリン浣腸液などをお出しします。