- 子どもも大人もうつる!?
溶連菌感染症とは - 溶連菌の症状
- いつ?どこでもらう!?
保育園や幼稚園・学校? - 溶連菌が流行する時期はある?
- 検査方法
- 溶連菌感染症の治療方法
- 溶連菌を気付かず放置…
自然治癒する? - 子どもが溶連菌感染したときは、ご家族内で対策を
行いましょう
子どもも大人もうつる!?
溶連菌感染症とは
感染力が強いので、お子さまが溶連菌感染症にかかった際は、他の方に感染しないように、ご自宅内でのマスクをつけたり手洗いやうがいを徹底したりしましょう。
溶連菌の症状
溶連菌に感染すると、数日間の潜伏期間を経て、以下のような症状が出ます。
風邪や新型コロナウイルス感染症と似ているので、注意が必要です。
- 発熱
- 喉の痛み
- 喉に白っぽい発疹ができる
- 舌に発疹ができる(イチゴ舌)
- 首のリンパ節が腫れる
- 胸部や腹部、腕、太腿などに発疹・かゆみが起こる
上記は子どもに見られる症状です。大人の場合はこれらの症状に加えて、頭が痛くなることも少なくありません。
いつ?どこでもらう!?
保育園や幼稚園・学校?
しかし、飛沫感染や接触感染によって流行します。そのため、保育園や幼稚園などの集団生活では、多くの子どもがかかることもあります。
飛沫感染
感染した子どもが咳やくしゃみをすることで、菌が飛散する
↓
他の子どもがそれを吸い込む
↓
感染
接触感染
感染した子どもが絵本やおもちゃなどに触れて、菌がうつる
↓
別の子どもが菌の付いた物に触れることで、手に菌がうつる
↓
菌がうつった手を口に入れたり食べ物に触ったりすることで、菌が体内に入る
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感染
潜伏期間は?
溶血性連鎖球菌が喉から入り、2~5日間の潜伏期間を経てから発症します。代表的な症状は喉の痛みです。他にも、発熱や頭痛、腹痛、嘔吐が出ることもあります。舌が赤くなってイチゴのように見えることもあります。
症状は一般的な風邪とよく似ていますが、溶連菌感染症の場合、「猩紅熱(しょうこうねつ)」という全身の発疹が出ます。猩紅熱は、首や胸から始まって、1日のうちに全身に広がります。
溶連菌が
流行する時期はある?
1年を通して感染する可能性があるものですが、特に冬~春の間は、溶連菌感染症が流行しやすい時期とされています。この時期は寒さによって身体の抵抗力が弱まるので、細菌に感染しやすくなります。
検査方法
お子さまの状態を把握するために問診を行い、症状や家族歴などをお聞きします。また、お住まいの地域での感染状況も把握しながら診断します。
他の疾患の可能性がある場合は、追加の検査(溶連菌の有無を調べる検査キットや、血液検査など)を受けていただきます。
皮膚に異常がある場合は、細菌の培養検査も受けていただけます。
溶連菌感染症の検査は、喉の粘液を綿棒で採るだけで、10分程度で結果が出ます。
しかし、病状が重い場合は、合併症のチェックのため他の検査も必要です。
溶連菌感染症の治療方法
抗生物質の服用が中心となります。
抗生物質を飲み始めると、熱は2日以内に、喉の痛みや発疹なども1週間以内に落ち着きます。皮膚に感染した場合は、治療途中で皮がむけることもありますが、2~3週間のうちに元通りになるのでご安心ください。症状がなくなっても、医師が処方した抗生物質は最後まで飲み終えるようにしてください。
小さなお子様の場合には、抗生物質を飲ませなくても、自然と治ることもあります。
抗菌薬は症状が消えても飲ませてください!
溶連菌を完全に消すためには、症状がなくなっても抗生物質を飲み続けることが必要です。抗生物質の種類によっては、5~10日間飲むことが推奨されています
※薬は医師の指示に従いながら、最後まで飲み切るようにしてください。
溶連菌を気付かず放置…
自然治癒する?
子どもの溶連菌感染症は、薬を飲まなくても治ることがあるのですが、治療が不十分ですと、腎炎やリウマチ熱を合併するリスクが高くなる可能性があります。そのため処方された抗生物質は、飲みきるようにしましょう。
溶連菌の合併症について
溶連菌感染症がきっかけとなって合併する疾患としては、リウマチ熱や急性糸球体腎炎、髄膜炎、敗血症、劇症型溶連菌感染症が挙げられます。
これらの合併症について、詳しく説明します。
次の項目では、リウマチ熱、急性糸球体腎炎、髄膜炎、敗血症、劇症型溶連菌感染症について説明していきます。
リウマチ熱
リウマチ熱は、A群溶血性連鎖球菌に感染した後に起こる炎症性の合併症です。
細菌に対抗する抗体が、間違って心臓や関節、皮膚、神経なども攻撃してしまうことで、様々な症状を引き起こします。 主な症状としては、関節痛や発熱、胸痛、動悸、けいれん、発疹、皮膚の下にできる小さなこぶなどが挙げられます。また、A群溶血性連鎖球菌に感染してリウマチ熱を発症するのは、遺伝的な要因も関与しているのではないかとも言われています。
リウマチ熱を発症してもほとんどの方は治りますが、心臓に損傷を残すこともあります。 リウマチ熱は5~15歳の子どもに多く見られ、過去にリウマチ熱にかかった方は、再び溶連菌感染症になるとリウマチ熱を再発しやすい傾向があります。
急性糸球体腎炎
急性糸球体腎炎は、A群溶血性連鎖球菌に感染した後に起こる炎症性の合併症です。
扁桃や皮膚の炎症をきっかけに急性糸球体腎炎が起こり、糸球体の炎症によってタンパク質や血液が尿に混じるようになります。他にも、むくみや高血圧、尿がすくなくなるなどの症状が起こることもあります。発症してから急性期を乗り越えた後は、症状が良くなる傾向があります。
治療では安静と保温だけでなく、水や塩分、タンパク質を控えめにする食事制限を行います。急性期には、抗生物質や降圧剤、利尿薬などを処方します。
敗血症
敗血症とは、感染症を発症したことで、体内で細菌が増殖した結果、全身に炎症が広がって重篤な臓器障害を起こす疾患です。連鎖球菌やブドウ球菌などの細菌が原因で発症することが多いです。
敗血症は重篤な疾患で、早く治療しないと命に関わりますし、治っても後遺症が出る可能性もあります。初期症状としては、悪寒や全身の震え、高熱、発汗などがよく見られます。悪化すると心拍数・呼吸数の増加、血圧低下、排尿困難、意識障害などが現れます。
劇症型溶連菌感染症
劇症型溶血性連鎖球菌感染症は、発症機序、病態生理は不明であるが、突然発症することが多い疾患です。初期症状では、手足の痛み、腫れ、 発熱、血圧低下、悪寒、筋肉痛、下痢などが起こりますが、中でもよく見られる初期症状は、手足の痛みです、
進行スピードが極めて早く、発病してから数十時間以内には、軟部組織が壊死して急性腎不全を引き起こします。成人型呼吸窮迫症候群や播種性血管内凝固症候群、多臓器不全を引き起こし、ショック状態から命を落とすことも珍しくありません。
子どもが溶連菌感染したときは、ご家族内で対策を行いましょう
溶連菌はワクチンで予防できないので、手洗いやうがいなどの日常的な対策が感染を防ぐのにとても重要です。ご家族の中で溶連菌に感染した方がいる場合は、以下のような対策をとりましょう。
手洗いを徹底する
指の間や指先は洗い残しが多いので、意識して洗いましょう。
石鹸で丁寧に洗った後は、水できちんと洗い流し、きれいなタオルやペーパータオルで拭き取りましょう。
すぐに手を洗うのが難しい場合は、濡らしたタオルやガーゼ、ウエットティッシュなどで手を清潔にしましょう。
食器やタオルを共有しない
溶連菌は非常に強い感染力を持っているので、ご家族で同じ食器やタオルを共有するのは厳禁です。感染後から意識するのも大事ですが、溶連菌以外の感染症の予防にもなるので、普段から意識しておくと良いでしょう。
アルコール消毒を行う
アルコール消毒は溶連菌の感染予防に期待できます。溶連菌は感染者の飛沫から感染拡大することがあるので、感染した子どもが触った物をこまめにアルコール消毒しておきましょう。